[22] ネイティブ・マインド──アメリカン・インディアンの目で世界を見る/北山耕平(サンマーク文庫)

 じつは著者の北山耕平氏には、35年位前に雑誌『The Meditation』の座談会で初めてお会いしております。その後、私が参加していたC+Fコミュニケーションズ(東京)の吉福伸逸氏の友人だということを知り、以前からご縁のある方だと思っておりました。今回、文庫版が刊行されたのを機に本書を紹介させていただきました。

 北山氏は、アメリカ先住民族の長老との出会いをきっかけに、環太平洋の先住民族のスピリットに関心を深め、そうした研究の紹介を積極的に行なっています。

 

 なぜ、彼がネイティブ・アメリカンに強く魅かれていったのか。そのきっかけともいえるローリング・サンダーとの出会いについて、次のように語っています。
「私のそれまでの考え方は、あれ以後完璧に変わったのだ。一瞬の出来事だったといっていい。まるで頭脳コンピュータの『消去(クリア)』のボタンが、彼によって押されたかのようだった。それまでの自分を作り上げていたシステム・プログラムがすっかり消えて、それまで自分を生み育ててくれた世界から、私ははっきりと切り離されたのである」
 砂漠という一見何もない世界に住む一人のネイティブ・アメリカンの語る言葉と存在感に、彼は大きな衝撃を受けたと言っています。
「はじめて何も知らない自分と私は出逢った。私は、あの時自分の世界の見方というものが、両親や学校といった人工的な環境からの長年にわたる教育の産物であることを思い知らされた。ほんとうに知らなくてはならないことを、自分は何ひとつ知らなかったのだ。私たちが遠い昔に忘れてしまった知識を、彼らは現在まで保ち続けている」
 それは、ネイティブな人々に伝わるメディスンという物の見方であり、「聖なる道」についての教えだった。自然を敬い、自然と調和して暮らす「ネイティブ・マインド」による生き方の指針でした。

 

 さらに彼は、日本人の祖先とアメリカ・インディアンには、環太平洋に居住していたモンゴロイド(黄色人種)という共通のルーツで繋がっていることを実感する。
「アメリカ・インディアンのなかに入っていった私がたどり着いた地点、それは自分のなかに今なお流れているモンゴロイドとしての赤い血の流れ、魂と生命の繋がり、つまるところ『私のなかのインディアン』ということだった。
 そして、一人のモンゴロイドとしての私は、偉大なる祖先の歩いた昔の道を、どうしてもはじめに遡って確認する必要があったのだ。どこから来て、どこにいて、何をやっていて、これからどうなるのか」
 著者は、こうした疑問を解き明かすために、これまでに残された数多くのネイティブ・ピープルの言葉を頼りに、自分をプログラミングしなおす作業をしていくことになる。それは、まるで新しい世界の見方を手に入れたようなもので、彼は生まれてはじめて、自分からすすんで知りたいと思うものに巡り合うことができたと述べています。
 したがって、本書は、彼(日本人)の魂のルーツについての「検証」であると同時に、「心のある道」を旅するすべての人のために書かれたガイドブックでもあると思います。

 

 最後に、ネイティブ・アメリカンが「母なる大地」について語った2つの言葉を紹介しておきます。彼らの生き方の片鱗が見えてきます。
 まず、ドゥワミシ族のチーフが、大統領からの使いに語ったというスピーチ(抄)を引用しておきます。
「わしらの土地を買うだって? 白人が買おうとしているものは本当はなんなのかと、わしに従う者たちは聞くだろう。わしらには理解できないのだ。
 どうやったら空気を売ったり買ったりできるというのか? 大地の暖かさを売ったり買ったりできるものだろうか? わしらには想像することさえむずかしい。
 この甘い空気も、湧きあがっている泉も、もともとわしらのものなんかじゃないとしたら、どうやってあなたがたは、わしらからそれを買うというのか?」

 

 つぎに、どこに行ってもネイティブ・ピープルから聞かされる言葉で、やはり土地についての言葉です。
「この地球は、お前の母親なのだ。
 母親を売るようなことがあってはならない」

 

【おすすめ度 ★★★】(5つ星評価)



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