[6] 2045年問題──コンピューターが人類を超える日/松田卓也(廣済堂新書)

2045年問題,松田卓也,コンピュータ,レイ・カーツワイル,人工知能,シナプス計画,ヒューマン・ブレイン・プロジェクト

 この本のテーマは、おそらく私が生きているうちには実現しないでしょうから、いま一つ実感がありません。もちろん、どんな世界になっているのか、その行く末を見てみたい気はします。ただ、私の子供や孫はにとっては、決してSFの世界ではなく極めてリアリティのある話だと思います。

 簡単に言うと「2045年にコンピュータが人類全体の能力をはるかに超え、それ以降の歴史の進歩を予測できなくなる」というものです。アメリカの人工知能研究者であるレイ・カーツワイルが提唱している説です。
 なぜ予測できなくなるかといえば、この日を境にコンピュータが全人類の知能を超えてしまうため、人間が理解できる領域を超えるので、当然予測もできなくなります。何が起こるか分からないというわけです。
 全人類の知能を超える? どういうことでしょうか。
「コンピュータ技術がこのまま進歩していけば、コンピュータ自身が自己を規定するプログラムを改良することができるようになり、知能が指数関数的(ネズミ算的)に増大していきます。その結果、この「超人工知能」は人類最後の発明となり、それ以降の発明はすべてコンピュータが行なうことになるだろう」と述べています。
 このコンピュータは、自ら学習し進化するばかりでなく「意識」や「感情」を持つとも言われています。いずれ人間の脳を神経単位のネットワークとしてシミュレーションできるようになるでしょう。このシミュレートされた脳は知性に近い働きを示すかも知れません。
 だから「コンピュータが人類を超える」といっても、将棋やチェスのプロがコンピュータに負けるというレベルの話ではありません。あらゆる面で人間の能力をはるかに超えた存在となる可能性があります。
 この「予言」が、マサチューセッツ工科大学出身でアメリカの「発明家の殿堂」に加えられ、「ナショナル・メダル・オブ・テクノロジー」「レメルソンMIT賞」など数々の賞を受賞した一流の科学者の口から飛び出したことから、世界中で大きな反響を巻き起こしました。
 日本ではあまり知られておりませんが、アメリカやヨーロッパでは、すでに国家的プロジェクトとして真剣に研究、開発されています。
 アメリカの「シナプス計画」やヨーロッパの「ヒューマン・ブレイン・プロジェクト」を中心に、人工知能開発は着々と成果を挙げつつあります。
 オーストラリアの科学者ヒューゴ・デ・ガリスは、将来の究極のコンピュータは、原子1個で1素子になるだろうから、人間の脳より10の24乗、つまり1兆の1兆倍も賢くなると明言しています。このような凄いコンピュータが誕生するのは2050年以降だと言われています。
 いずれにしても、人類の能力をはるかに凌ぐ「超人工知能」は、ある意味で「超人類誕生」と言えなくもありません。前々回、紹介したエイドリアン・ベジャン教授のコンストラクタル法則からみても、超人工知能=超人類の図式は必然的な流れだと思われます。
 映画『2001年宇宙の旅』(アーサー・C・クラーク)のHAL(ハル)や『ターミネーター』のスカイネットなど意識を持った人工知能は、もはやSF映画の世界ではなく現実のものとなる日は近いのかも知れません。
 でも「そんな世の中になるんだったら長生きはしたくないなぁ」という気持も一方ではあります (^-^;)
 しかし私は、もし仮に超人工知能が「知性」を獲得できたとしても、いわゆる「魂」を持った存在になることはないと思ってます。人間は脳だけで存在しているわけではないからです。
 数十億年に渡って進化を続けた生命体である人類が、わずか100年足らずのコンピュータの進化によって生み出されるとは到底考えられません。ましてや、知性だけでは説明できない「魂」の存在があることは、多くの信頼できる科学者自身による臨死体験の報告からも明らかです。

 

 参考までに「2045年問題」を提起したレイ・カーツワイルの他の著書を下記に挙げておきます。
●『スピリチュアル・マシーン コンピューターに魂が宿るとき』田中三彦・田中茂彦訳 翔泳社 2001年
●『ポスト・ヒューマン誕生 コンピューターが人類の知性を超えるとき』井上健監訳他 NHK出版 2007年

 

【おすすめ度 ★★】(5つ星評価)



書評 精神世界の本ベスト100に戻る

関連ページ

[1] エンデの遺言/河邑厚徳+グループ現代
[2] 「原因」と「結果」の法則/ジェームズ・アレン
[3] 富を「引き寄せる」科学的法則」/ウォレス・ワトルズ
[4] 流れとかたち/エイドリアン・ベジャン
[5] 唯識十章/多川 俊映─
[7] トランスパーソナルとは何か/吉福伸逸
[8] 一流人たちの感性が教えてくれた「ゾーン」の法則/志岐 幸子
[9] ザ・マスター・キー/チャールズ・ハアネル
[10] 禅と食/枡野 俊明
[11] プロセス指向心理学/アーノルド・ミンデル
[12] ルーフ・オブ・ヘブン/エベン・アレキサンダー
[13] 異次元は存在する/リサ・ランドール
[14] ザ・シークレット/ロンダ・バーン
[15] 宇宙瞑想/横尾忠則対談集
[16] アップデートする仏教/山下良道、藤田一照
[17] ザ・ゲート/エリック・パール
[18] 100万回生きたねこ/佐野洋子
[19] 神様のホテル/ビクトリア・スウィート
[20] 風邪の効用/野口晴哉
[21] わら一本の革命/福岡正信
[22] ネイティブ・マインド/北山耕平
[23]生きる。死ぬ。/土橋重隆、玄侑宗久
[24] あわいの力/安田 登
[25] 里山資本主義/藻谷 浩介
[26]しらずしらず/ムロディナウ
[27] すべては宇宙の采配/木村 秋則
[28] 奇跡の脳/ジル・ボルト・テイラー
[29] 祈る心は、治る力/ラリー・ドッシー
[30] 脳の神話が崩れるとき/M・ボーリガード
[31] なぜ、これを「信じる」とうまくいくのか/マシュー・ハトソン
[32] 超常現象 科学者たちの挑戦/NHK取材班
[33] 皮膚という「脳」/山口 創
[34] 魚は痛みを感じるか?/ヴィクトリア・ブレイスウェイト
[35] 食品の裏側──みんな大好きな食品添加物/阿部 司(東洋経済)
[36] 「臨死体験」が教えてくれた宇宙の仕組み/木内鶴彦(晋遊舎)
[37] かもめのジョナサン完成版/リチャード バック(新潮社)
[38] 「ビジネスゲーム」から自由になる法/R・シャインフェルド(VOICE)
[39] 思考のすごい力/ブルース・リプトン(PHP研究所)
[40] 脳科学は人格を変えられるか?/エレーヌ・フォックス(文藝春秋)
[41] がんが消えた──ある自然治癒の記録/寺山心一翁(日本教文社)
[42] 体の知性を取り戻す/尹 雄大(講談社現代新書)
[43] 宇宙のパワーと自由にアクセスする方法/ディーパック・チョプラ(フォレスト出版)
[44] 腰痛は怒りである──痛みと心の不思議な関係/長谷川淳史(春秋社)
[45] 野生の体を取り戻せ!/ジョン J・レイティ、リチャード・マニング(NHK出版)
[46] がんが自然に治る生き方/ケリー・ターナー(プレジデント社)
[47] 打てば響く/竹村文近、大友良英(NHK出版)──音の力、鍼の力
[48] 病は心で治す──健康と心をめぐる驚くべき真実/リサ・ランキン(河出書房新社)
[49] フューチャー・オブ・マインド──心の未来を科学する/ミチオ・カク(NHK出版)
[50] 目の見えない人は世界をどう見ているのか/伊藤亜紗(光文社新書)

●トップページ ● 書評 精神世界の本 ベスト100 ● スピリチュアル書店 ● 出版社&WEBマガジン ● トピックス