[57] 無意識の整え方/前野隆司(ワニ・プラス)

 私たちは普段、無意識でやっていることに気づいていないことが多いようです。 呼吸、声の出し方、しぐさ、態度など、自分ではまったく自覚せずに「気づかないうちに」行なっていることがほとんどです。意識できている部分は、ほんの一部分に過ぎず、97%以上が無意識とも言われています。

 この本では、どうすればそうした自覚されない意識=無意識にアクセスし、心身を整えることができるのか、前野隆司氏(慶應大学教授)と、無意識と深く関わるエキスパート4人が語り合っています。
 各分野のエキスパートとは、藤平信一(合氣道家)、松本紹圭(僧侶)、山田 博(森のワークショップ主宰)、稲葉俊郎(医師)の4人の方々です。

 

 今回は、本書の談話の中で、私が一番印象に残った言葉を抜粋させていただきました。もちろん、ここに挙げた談話以外にも、多くの示唆に富んだ言葉が載っているので、ぜひ一読してみてください。

 

藤平信一(合氣道家)
「西洋で生まれた科学的な価値観では、対象を観察する姿勢が重要視されますね。しかし、合氣道を含めた東洋世界には、観察者と対象が一体になるという姿勢があるように思います。つまり、主体と客体を分けないということです」
「相手と一体になることができれば、氣を通わせることができます。じつは、無意識の部分でつながることは、主体と客体を分けないで氣を通わせることなのです。
 たとえば、仕事の交渉って、最初から自分勝手な落としどころを決めてから臨むと、たいていうまくいきません。『説得する側』と『説得される側』となってバラバラになってしまうからです。ところが交渉上手な方は、説得ではなく『一緒に決める』流れをつくります。我々の合氣道では『導き投げる』といいます」

 

松本紹圭(僧侶)
「親鸞聖人は『さるべき業縁のもよおせば、いかなる振る舞いもすべし』といっています。縁が生じてしまえば、誰だってどんな振る舞いをするかわからないという意味です。自分の意志でやってるつもりのことでも、いろんな縁の積み重ねで起こってるんだよ、ということですよね」
「華厳経では、私たち個々の存在は、網の結び目のようなものだというんです。『結び目』というのは、結び目としての実体があるわけではなく、ひもとひもの結節点が、仮にそう呼ばれているわけです。ひもを縁と見るならば、一人ひとりの存在は、個々が独立した実体としてあるわけではなく、縁と縁の結び目に仮に成り立っているのです」

 

山田 博(森のワークショップ主宰)
「都会にいるときでも、無意識にはあらゆる情報が届いている。でも意識の働きが強くて、そのことに気づかない。普段は閉じてしまっている。だけど、森にいるとどんどん開いて、どんどんいろんなものが入ってくる。閉じているときは、知らないうちにそうした情報を弾いているんでしょう。
 カメラのシャッターに似ていませんか? シャッターが開いたときだけ、光が差し込んで像を結ぶ。閉じたら何も映らない。感覚が開いてくると、開きっぱなしになって、いろんな絵が映る。感覚が開くというのは、無意識へのアクセスが開くことなんです」

 

稲葉俊郎(医師)
「コミュニケーションって、常に相手に選択されていると思うんです。『この人ならこの話をしても大丈夫だ』とか『この人は絶対にバカにするからやめておこう』とか、そういうことをみんなで無意識の中で探り合っているんですよ。
 微細な表情、皮膚感覚で『この人は話してもOKだ』と無意識に判断できると話してくれる。しかも、聞いているときの反応もすぐ察知されて『冗談だけどね』って打ち切られてしまうこともあります」
「ぼくにとっての無意識、深層意識はまさに自然そのもので『おのずから』あるものです。自然は人間をつくり出し、その人間が中枢神経を持ち、そこから『わたし』という意識が生まれ、さまざまな世界観を形づくっている。
 そういう流れを思うと、自然という遥かな命の流れがある中で、特定の世界観なんてものは本当に部分に過ぎないなあと感じます。無意識は、それ以外の膨大な世界ですよね」

 

【おすすめ度 ★★】(5つ星評価)



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