[53] ONE──「1つになる」ということ/加藤秀視(徳間書店)

 私は、もともと人間関係が苦手なタイプだったので、若い頃は「人間関係を良くする話し方」や「コミュニケーション術」みたいな本を片っ端から読みあさっていました。しかし、40歳を過ぎる頃からは、こうしたハウツー書には、まったく興味がなくなってしまいました。なぜでしょうか。

 

 この本には、私がハウツー書を読まなくなった理由を適確に代弁していると思ったので、今回、思わず取り上げてしまいました。
 著者は次のように述べています。
「想像してみれば分かるが、親子にしても夫婦にしても親友にしてもビジネスパートナーにしても、本当に良い人間関係というのは、スキルやテクニックがあるから築けるのではない。根底に相手に対する愛があり、ぶつかりながらも本音でコミュニケーションを取るからこそ、お互いに対する深い理解とつながりが生まれていく。
 相手に対する愛がある人は、スキルやテクニックには頼らない。逆に相手を怖れていたり、コントロールしようとするほどスキルやテクニックに走る。それでは人とはつながれない」
 つまり、本当に相手に対して思いやる気持があれば、配慮や気遣いは自然と生まれてきて、それが結果としてスキルやテクニックになるだけで、その逆ではないと述べています。相手と真剣に向き合い、本音を言い合えるような信頼関係を築くことが重要なんだ、というわけです。

 

 だから、人間関係を変えようと思ったら、接する態度や言葉を変える以前に、まず自分の内側と向かい合ってみる必要があると言っています。
「なぜなら、目の前の現象は全て自分が創ったものであり、人間関係とは自分の内側が投影されたものだからだ。つまり、自分の他人に対する思い込みがそのまま人間関係に反映される。相手を内心で攻撃していたり、裁いていたり、拒絶しているから、それが態度や振る舞いとなって現れ、関係にヒビが入っていくわけだ」

 

 しかし、多くの人たちは信頼できる人間関係を持ちたいと望んでいるはずですが、自分の内側と向かい合って自分を根底から変えることは難しいようです。なぜでしょう。
「多くの人は『人生を変えたい』と言っているが、本当はそこまで変わりたいと思っていない。なぜなら、変わることは大変だから。変わるリスクよりも変わらないリスクの方がいいと思っているんだ。だから、変わらない。
 もっといえば、多くの人が変われないのは、自分にとって一番大事なものを失っていないからだ。だからもし、耐え難い苦しみに直面しているようなら、それは絶好の変わるチャンスなのだ」
 人は、痛い目を見ることによってしか奥底から変われないのでしょうか──

 

 人はこの「つながり」がないと精神的に孤独を感じるようになります。友達や親友だと言い合っている仲でさえ、まったくお互いのことを知らず、ただ一緒に遊ぶだけ、何かあったときは知らんぷり、ということも少なくないと言っています。
「怖れのある関係や本音が言えない関係は、ただ付き合いがあるだけで心の奥底では何のつながりもないからだ。ほとんどの人は多くの人間関係を持っているように見えて、本当につながりのある人間関係を築けずにいる。中には、親や旦那さんともつながらず、友達とも表面上の付き合いしかしていない。精神的には一人で生きている人も少なくないんだ」
 考えさせられる言葉です。ぜひ一読をお勧めします。

 

【おすすめ度 ★★★】(5つ星評価)


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