[36] 「臨死体験」が教えてくれた宇宙の仕組み/木内鶴彦(晋遊舎)

 よく調べてみると、意外に多くの人たちが「臨死体験」をしていることがわかります。ところが、それらの体験談を読み比べてみると、どうも臨死体験には、大きく分けて2つの段階があるようです。

 つまり心臓が止まる前、あるいは心肺停止後それほど時間が経っていないうちに蘇生した場合と、もう1つは心肺停止状態が長く続き、脳波停止に陥った場合です。
 前者の段階を経験した人は数多くいるのですが、脳波停止が長く続いた事例は圧倒的に少なくなります。それだけ、蘇生が難しくなるからでしょう。

 

 著者の木内氏は、22歳と55歳のときに臨死体験をしており、「死」を2度も経験した人です。
 1回目の時(22歳)は「上腸間膜動脈性十二指腸閉塞」という大変珍しい病気でした。世界でも120例ほどしかなく、助かった人は1人もいないという非常に重篤な病気です。
 2回目(55歳)は冠静脈破裂という病気で、5,000cc余りの吐血をして、心肺停止で病院に運び込まれました。
 しかも、どちらの体験も心肺停止後、脳波停止状態が続いていたといいます。
 その彼が、脳死体験について次のような興味深い考えを述べています。
「私にとって臨死体験は、はっきりと2つに分けられます。すなわち、心臓が止まる前の洞窟や花畑の丘にいた体験、これを第1次体験とすると、心臓が止まったあと、意識だけになって時空を移動した体験は第2次臨死体験といえます。
 1次体験のほうは、ぼんやりとした夢のような出来事でした。泥の中を這い回ったり、草を踏む皮膚感覚ははっきりあっても、頭のほうはぼうっとしたままです。でも第2次のほうは、まるで現実そのものです。肉体がないことだけを除けば、いまここでこうしている私自身そのものなのです。判断したり、思考したり、喜んだり、驚いたり……。ふつうに生活しているときのまま、時空を超えた世界を旅している感覚です」
 彼は、この2つはあまりにもかけ離れた経験なので、「臨死体験」として一括りにすることはできないと言っています。
 以前、このブログでも紹介しましたが、エベン・アレキサンダー(脳外科医)の事例もこの第2次体験ではないかと言っています。アレキサンダーは脳の機能が7日間停止してしまったにもかかわらず、明晰な意識を持ち続け「死後の世界」を克明に描いています(→[12] プルーフ・オブ・ヘブン参照)。

 

 本書の前半では、著者は2度にわたる臨死体験の内容を克明につづっています。鮮明な記憶をもとに書かれているので、非常にリアルで具体的な内容になっています。また、2度目の体験の時は慣れていたので(?)余裕があったのか、死後の世界の実在を検証するような実験も行なっています。
 後半では、臨死体験を経て得られた知見をもとに「宇宙の仕組み」や「生命の謎」等についても考察しています。
 それにしても、彼が自分の臨死体験を絶対に夢や幻覚ではないと確信している理由は、どこから来ているのかでしょうか。彼の次の言葉が、その理由を端的に表わしています。 
「これが単なる夢や幻覚であれば、何十年も前に見た夢のことなど、とうに忘れているはずではありませんか。あなたは22歳のときに見た夢を覚えていますか? でも私が2次臨死体験で見てきたこと、経験したことは、何十年経っても細部にわたるまで鮮明に覚えているのです」
 不思議なことに、意識だけの状態になると、頭がものすごくクリアになるようです。

 

【おすすめ度 ★★★】(5つ星評価)



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