[1] エンデの遺言/──スピリチャルからみたお金とは?河邑厚徳+グループ現代(講談社α文庫)

エンデの遺言,ミハエル・エンデ,ゲゼル,ルドルフ・シュタイナー,自由貨幣経済,地域通貨システム

 先日、1年ぶりに『エンデの遺言』(講談社α文庫)という本を読み返してみました。いま書店ではスピリチュアル関係の本で「お金」をテーマにしたものが多く並んでおり、この機会にもう一度読んでみることにしました。私にとっても「スピリチュアル」と「お金」の関係は、大きな関心事でもあります。

 また、この本を編集した小川真理生さんは私の知人であり、親密感を持ちましたのでこの書評欄で取り上げさせていただきました。
 この本の中で、神秘思想家ルドルフ・シュタイナーや児童文学作家ミハエル・エンデのお金に対する考え方が語られています。
 この二人に共通するお金に対する考え方は「お金も自然界の存在と同じように、年をとり最後は消えていくべきである。お金も老化しなければならない」というものでした。こうした考えは、すでにドイツの経済学者であるシルビオ・ゲゼルによって「自然的経済秩序(自由貨幣経済)」という概念で構想されており、シュタイナーも彼から強い影響を受けたと言っています。

 

 エンデがいかに「お金」(経済システム)の問題に真剣に取り組んでいたかは、彼の次の言葉からも伺えます。
「個人の価値観から世界像まで、経済活動と結びつかないものはありません。問題の根源はお金にあるのです。だからお金の問題が解決されなければ、我々の文化に関するすべての問題は解決されないでしょう」(エンデの手紙 1986年9月3日)
 そして、お金の本来の機能である「等価代償」から逸脱した「お金そのものが商品化され、利子によるお金の自己増殖システム」への根源的な見直しを提唱します。ガン細胞のように自己増殖を繰り返して巨大化する貨幣経済に対して警鐘を鳴らしたのです。
 国際金融システムの世界市場化は、自然破壊と超格差社会を生み出しました。また、世界は絶望的な経済危機(行き詰まり)に陥っています。現代の経済学者の中でも、自然の摂理にかなった、自然に適合した貨幣システムの実現こそ、この危機を救う唯一の解決策になると言っている人もいます。

 

 ゲゼルからシュタイナーへ、そしてエンデへと受け継がれた「自然に適合した貨幣システム」は、数多くの心ある経済学者に影響を与え、ドイツ、アメリカ、スイス、カナダでは実際に「地域通貨システム」や「並行通貨システム」、「ソーシャル・バンク」などの実現によって、限定的ですが実績をあげつつあります。
 しかし、これらの通貨経済システムの成功事例は、いまでは地域通貨論や電子マネー論の範疇で片付けられています。残念なことです。彼らはもっと根源的な変革をめざしていたのだと思います。

 

 ところで、いま流行りの「引き寄せの法則」の元祖ウォレス・ワトルズやアーネスト・チューの富に対する考えは「宇宙エネルギー(神のエネルギー)」は無限であり、人類はそのエネルギーに「思考」や「魂」をシンクロさせることによって富を無限に手に入れられるというものでした。果たして、そうでしょうか。
 私はこの地球上に存在している富や資源は、限られたものだという認識を持っています。確かにこの地球を三次元の世界だけに限定すると富は有限に見えますが、高次元の世界が並存していると考えれば無限である可能性はあります。しかし、いまの人類の進化レベルでは難しいと思います。
 地球上の三次元の資源には限りがあるので、人類が宇宙に飛び出していかない限り、いずれは枯渇してしまうでしょう。もし宇宙に進出したとしても、旧来の経済システムのままでは環境破壊を宇宙にまで拡散してしまうことになります。当分の間、「地球幼年期の終わり」(アーサー・C・クラーク)はまだ来ないでしょうから (^-^*)。
 いずれにしても、この本に書かれていることは、「お金」とは何かについて私たちに根源的な問いを投げかけていると思います。

 

【おすすめ度 ★★★★】(5つ星評価)



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